中絶と同意書

中絶を考える段になって、「中絶には同意書が必要である」ということを初めて知り、焦ってしまう……というお話を、時折耳にします。

しかし中絶には、確かに同意書が必要であると、法律で定められているのですが、例外とされる場合もあるのです。

一体どういうことなのでしょうか? 詳しくみていきましょう。

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中絶の同意書について規定があるのは、妊産婦の生命と健康を守るための法律、母体保護法です。

ここには、第十四条に、「本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。」という文言があり

人工妊娠中絶をしたいときには、パートナーの同意が必要であることが示されています。

しかし、人工妊娠中絶というのは、非常にデリケートな問題です。

もちろん、妊娠した女性にきちんとした配偶者や、それに準ずるパートナーがおり、中絶自体もやむを得ない事情があり

二人で話し合った結果、中絶を決めた、従って同意書もきちんと取れる……といったケースも、あります。

しかし、決して少なくないケースが、妊娠の発覚後に、相手と連絡がとれないなどの困った事態になり、同意書が取れない場合です。

不幸にして、パートナーが亡くなってしまうという場合もあります。

また、もちろん、暴行などによる望まない妊娠においては、相手が知れないというケースもあるわけです。

そのために、いくら法律で「同意書が必要である」などと言われたところで、どう頑張っても同意書が取れないというときがあります。

ときに、人工妊娠中絶は、行うにあたって時間的な余裕はほとんどありません。

最終月経の開始日から数えて、12週未満のうちに中絶手術を行わないと、母体の身体的にも負担が増し、金銭的にも中絶費用がふくらみます。

そして、22週になってしまうと、同じく母体保護法の規定によって、中絶手術そのものができなくなってしまうのです。

悠長に相手を探して、同意書を取ってはいられない……という一面が、中絶手術には、あります。

そこで、母体保護法には、同じ第十四条に

「前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。」

という文言をつけ、同意書が取れないときの逃げ道が確保されている形となります。

この規定が存在することによって、もちろん相手が亡くなってしまった、行方が知れないなどのケースにおいては

法律上は女性側だけでも希望すれば中絶手術が受けられることになります。

しかし同時に、相手はいる、連絡もつく、しかし、二人の関係が壊れることを恐れて、妊娠したことを話せない……というようなケースでも

やりかたによっては中絶手術を受けられる形です。

これが良いことなのか、そうでないことなのかは、誰にも答えがわかりません。

ただ、病院側としては、相手に連絡がつく状態であれば、同意書にサインをいただかなくてはなりませんので

女性側が「相手と連絡がとれる」と言ってしまえば、当然、サインを求められるのが現実です。

中には、相手からサインをもらえなかったといって、他人に頼んだり、信頼のできる男性の同僚に頼んだりする場合もあるようなのですが

これは、万一頼まれた場合にも安直に引き受けたりしないことを、おすすめします。

もちろん、頼むことも控えたほうがよいでしょう。

といいますのは、中絶手術の同意書にサインをしたあと、その女性がパートナーと離婚等のトラブルになって

結果、同意書にサインをした男性が悪いというような話になり、弁護士を頼まざるを得なくなるなど、トラブルを大きくしてしまうことがあるのです。

病院の側は、安易に相手の同意なしに中絶手術を行うことはできませんので、ホームページなどにも

『必ず相手側のサインが必要』と明記してある場合がほとんどです。

しかし、法規定には例外もあるということを覚えておくと、クリニックに相談することも可能でしょう。

なお、中絶の同意書には、たいていの場合、氏名と住所を記載し、捺印を行います。

女性の側も、パートナーの側も同じです。また、女性が未成年の場合、保護者の氏名と住所、捺印も必要になります。

※ パートナーの同意が得られない場合は、成人であっても親、もしくは親戚の同意が必要になります。

中絶手術を受ける場合には、恥ずかしい、軽蔑される、怒られる……などの理由で、親には話せないと思う女性も多いようです。

しかし、中絶手術は、多くが麻酔をかけて行うものです。術後もすぐには動けず、日帰りで手術できる場合でも帰宅時にふらつく場合もあります。

もちろん、帰宅してからも、一週間ほどは安静が基本です。そして何よりも、大なり小なり、心に傷を負うことは避けられません。

パートナーの同意がもらえないのならば尚更、「できれば、親かきょうだいには話をして、同意書をもらいがてら、付き添いを頼んだほうがいいのでは……」というのが

中絶手術の経験者たちの大まかな意見です。

それぞれが事情を抱えての人工妊娠中絶ではありますが、できるだけ一人で抱え込まず

パートナーなり、ご両親やごきょうだいなりに、相談をするのがベストです。

同意書につきましても、事情次第で複数の道がありますので、ケースバイケースの対応が必要であることを知っておきましょう。

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