中絶と法律

人工妊娠中絶は、主に「母体保護法」という法律によって、その概要が定められています。

母体保護法は、最終改正が平成25年12月に行われている法律です。このことからも、内容は時代に即して見直されていることがわかります。

それでは、その内容について見てみましょう。

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母体保護法は、「母体の生命健康を保護すること」を目的に、人工妊娠中絶と不妊手術について定めている法律です。

人工妊娠中絶の定義については、第二条に定められており

「人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。」

となっています。

この条項は、人工妊娠中絶を行う時期に深く影響を与えています。

つまり、人工妊娠中絶は「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」に行われる必要があり

これに値しない人工妊娠中絶は違法となりますので、どこのクリニックをあたっても、実施することはできません。

では、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」とは、いつ頃のことを言うのでしょうか。

現在の保育技術においては、妊娠22週を過ぎた胎児は、母体の外に出されたとしても何らかの方法で保育することができる、とされています。

妊娠22週では極度の早産の扱いにはなりますが、「生命を保続すること」はできるとみなされるのです。

したがって、人工妊娠中絶を行う場合には、施術が妊娠21週7日目までである必要があります。これ以上の先延ばしはいかなる理由があってもできません。

ここで、問題となるのは妊娠週数の数え方ですが、妊娠週数は、妊娠前に最後の月経がはじまった日を、0日目として数え始めます。

この日から、7日目までが第1週です。8日目~14日目までが、第2週となります。

中絶を検討している場合には、正確な週数をクリニックで必ず確認しましょう。

人工妊娠中絶は、早ければ妊娠5週目頃から、行うことができます。

ただ、妊娠に気付く時期ということを考えた場合に、日常的に基礎体温をつけていれば妊娠に気付くのが早いですが

そうでなければ、月経が来なかったので妊娠に気付く……ということがほとんどです。

すると、その時点で、既に大体4週が経過しています。

月経の遅れは、女性としては珍しいことでもありませんので、遅れているのかな? と思っている間に、1~2週間はあっという間に経過します。

ようやく、妊娠を確認した頃には、既に妊娠7週目、8週目であることも珍しくはありません。

もうひとつ、中絶と法律ということについては、中絶の理由について、この母体保護法で定められていることがあります。

それは、中絶理由は以下の2点に絞られるということです。

1つは、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」

もう1つは、「暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」

多くの中絶は、1つめに挙げた、身体的又は経済的なことを理由として行われています。

学業、あるいは仕事を理由にして中絶をする場合も、これを広義に解釈して認められているといえるでしょう。

もちろん、後者、2つめの理由が、やむを得ない中絶の理由となることも少なくはありません。

さきほど述べましたとおり、人工妊娠中絶については母体保護法でその時期が定められており、妊娠22週まで、というタイムリミットが必ずついて回ります。

また、人工妊娠中絶をするにあたって、母体の安全や、負担の大きさ、かかる費用の大小ということを考えると、中絶の理想的な時期は、妊娠12週未満です。

妊娠12週を過ぎると胎児が大きくなってきますので、中絶手術をするときにも、母体の負担が増大します。

またそのほかにも、胎児の火葬や、死亡届の提出といった手続きが必要になり、肉体面、精神面の双方において、負担は倍増するといえます。

手続き上の理由、また手術の規模という面から、妊娠12週を過ぎてからの中絶手術は行っていないというクリニックもあります。

こうした諸事情からわかるのは、人工妊娠中絶をするかしないか……その決断のために妊婦に与えられる時間は、決して多くはないということです。

早くて妊娠5週目に、妊娠に気付いたとしても、12週を迎えるまでにたったの7週間。

法律的には、22週目を迎えるまでに手術を終える必要があり、長く迷う時間は与えられていないのです。

人工妊娠中絶を決めるにあたって、「法律的にも、妊娠22週未満なら中絶してもいいと認められているんだ」とする考え方があるのも事実です。

それが、やむを得ないと思われる事情を抱えた女性たちの、心のよりどころになっている面も確かにあります。

ただ、人工妊娠中絶は、あまり時間のない中で決断しなくてはならず、正解というものが無いのも事実です。

そのために、人工妊娠中絶をした女性は、後になって消えない悩みを抱えたり、後悔に苛まれたり……ということも少なくはありません。

一人で悩んで決断するよりも、できるだけ周囲の人に相談することが大切です。

その中から、見えてくるものがあったり、開ける道があったり、よしんば、同じ「中絶をする」という結論に達したとしても

心の持ちようや、その後の生き方が変わってくることも。

クリニックによっては、専門のカウンセラーを置いている場合もありますので、どうしても周囲に話すことができないというときには頼ってみるのも良いでしょう。

大切なのは、一人きりで悩まず、できるだけ早いときに、誰かに相談するということです。

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