中絶後の痛み

人工妊娠中絶をするにあたり、中絶の後遺症の問題からは目をそらすことはできません。

中絶の後遺症には様々なものがあり、特に問題視されることが多いのは、「人工妊娠中絶」という至って人工的な施術により

子宮や子宮頸管を傷つけることであったり、その結果として起こる可能性のある不妊の症状などです。

そうしたことに比べれば注目度は低いのですが、中絶後には痛みが伴うということも、中絶の後遺症のひとつとして心に留め置いていただきたいのです。

中絶後、後遺症としての痛みとは、どのような種類のものがあり、原因は何なのか、お話したいと思います。

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身体の痛み、腹部の痛み

中絶手術後には、下腹部に痛みを覚える方が大勢いらっしゃいます。

このことによって、中絶手術に何か不備があったのではないか、と心配になることも多いのですが、痛みだけで「手術が失敗した」などと判断するのは早計です。

中絶手術では、子宮内の妊娠に伴う組織を取り切ることはできません。これは通常の出産、分娩であっても同じことですが

必ず子宮内にはある程度の組織が残り、それを2週間~1ヶ月かけて、ゆっくりと自然に外に出していくことになります。

ですから、中絶手術後は、数週間にわたって微量の出血があるのが普通です。

中期中絶の場合には、より分娩に近い手術が行われますので、やはり最低でも2週間近く、悪露と呼ばれる、子宮内の残留物が体外に排出され続けるのです。

その際、不要物を子宮内から外に出すため、かつ、身体が妊娠前の形に戻ろうとする自然現象のために、子宮は収縮します。

つまり、妊娠のために伸びていた子宮内の組織が、風船の空気が抜けたように、縮もうとするわけです。

さらに、出血を止めたり、子宮の戻りをよくするために、手術後には子宮収縮剤が処方されます。

収縮の動きが急激であるために、身体は痛みを感じるのです。中絶手術を行った後に、下腹部に痛みがあるのは、むしろ当然のことであると言えるでしょう。

子宮収縮の痛みは、時に眠れないほどの疼痛になることがあります。ただ、うずくような辛い痛みであっても、激痛ではありません。

万一、子宮の内部に、残っていてはいけない組織が残っている場合や、感染症を起こしたような場合には

出血量が大出血といえるほど多く、かつ、痛みも疼痛とは呼べない、激痛となります。

妊娠週数が早すぎる状態で中絶手術をすると、子宮内の組織に取り残しが生じ、大出血になる可能性も比較的高いようですが

このようなときには慌てず、かつ放置せず、迅速にクリニックに受診することが大切です。

ちなみに、大出血ではなく、痛みも疼痛で、出血量も少ない生理程度の場合には、子宮収縮のための痛みで

異常ではないと考えられますが、それでも痛くて眠れない、休息できないなどの場合には、受診すると痛み止めを処方していただけます。

心配なときや、身体が辛いときには遠慮せずに受診、相談しましょう。

心の痛み

人工妊娠中絶を行うとき、もちろん身体的な痛みにも留意が必要ですが、より疎かにしていただきたくないのが、心の痛みに対する配慮です。

普通の、よくある悩みごととは違い、人工妊娠中絶の場合は、必ず相手がいるというのが特徴のひとつです。

女性一人で妊娠することはありません。

望まない妊娠であれ、望んだ妊娠を男性の都合で堕胎するよう迫られた場合であれ、妊娠には必ず、本来でしたら悩みを共有すべき相手が存在します。

中絶は、女性にとっては、体内に外から器具を入れ、その中をかき乱される行為に他なりません。

初期中絶、中期中絶を問わず大きな精神的負担を強いられるのです。

そのときに、共に乗り越えるべきパートナーがいるのか、それとも、そうでないのか……は、中絶をする女性にとって最大の問題であると言っても良いと思います。

妊娠のパートナーが、中絶に付き添ったり、女性を労る言動がある場合は、女性の精神的な負担は比較的少なくて済むようです。

中絶の後遺症として、精神的な問題を抱える可能性も、そうでない場合に比べれば低くなっています。

一方で、パートナーに裏切られた、妊娠を切っ掛けに別れることになってしまった……などの場合には、女性には非常に辛い心の負担がのしかかります。

妊娠、そして中絶といったことは、誰にでもおいそれと話せることではありません。

パートナーと共有し、共に悩んだり、共に胎児を悼んだりすることのできない女性は

一人でその重さを抱え込み、悩み落ち込んで、心の負担を大きくしてしまうことが多いのです。

中には、PAS(中絶後遺症候群)といって、中絶とそれに関連する一連の出来事、場所などがトラウマとなり

人と関わるのを避けたり外出を避けたり、抑鬱の症状を呈する場合もあります。

パートナーと心の負担を共有できない場合には、中絶をする女性には何より

身近な方、ご家族、ご両親、親しいお友達、誰でも良いので心許せる方に心の内をお話し、辛さを吐き出すことをおすすめしたいのです。

むやみに隠してはいけません。あなたの負担を、あなただけの秘密のものにしないで下さい。どうしても、周囲の方には明かせないという時には

遠慮なく心理カウンセラーなどを訪れ、カウンセリングの力なども借りることです。

一旦PASの方向に傾けば、人生そのものが意図しない方向へ、坂道を転がりはじめる可能性もあるのです。

また、もしも身近な方、ご家族お友達が中絶をしたことを知ったというときには

ぜひ広い、あたたかい心で、その方の心の疲れを見守ってさしあげていただきたいと思います。女性ならばどなたも、したくて中絶をするという方はいません。

そして、もしもパートナーが中絶をするという男性の方がいらっしゃったら、何としても手に手をとって、女性の負担を少しでも理解しようと努めてくださいね。

人工妊娠中絶に伴い、辛い、痛い思いをするのは九分九厘女性だということを、お忘れなくお願いしたいと思います。

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