中絶後の精神的影響

人工妊娠中絶には、それを行う女性にさまざまな影響がありますが、身体的なものだけではなく、精神的な影響も十二分に心配されます。

中絶後の女性の精神的な影響は、パートナー……あるいは、妊娠するに至った相手の男性……

と中絶後にどのような関係を築いているかによって、大いに左右されるといえます。

たとえば、実際に結婚生活を営んでいる相手と、年齢(高齢出産など)や子どもの数、あるいは胎児の障害などを理由にやむを得ず中絶を行った場合には

中絶後もパートナーが精神的な辛さを支えてくれることが多いですので、乗り越えることのできる可能性が高くなります。

スポンサーリンク

一方、妊娠・中絶を機に、付き合っていた相手と別れることになった場合や、結婚の予定であったのに

妊娠したことによって男性側が、結婚や、中絶をする女性から逃げる姿勢に転じた場合には、女性のショックも大きく、精神的な影響も長引くことが考えられます。

まして、妊娠に至ったけれども、相手が分からない、相手が行方不明……といったような、デリケートな事情がある場合には

中絶をする女性の精神的な辛さもひとしおといえるでしょう。

中絶後の精神的な影響は、実に多岐にわたります。最も心配されるのが、PASと呼ばれる、PTSDの一種で、中絶後遺症候群と呼ばれるものです。

ある研究によれば、中絶手術を上受けた女性のうち、PASに苦しむのはおおよそ20%前後とも言われています。

決して少ない確率ではありません。PASの症状を来すかどうかは、先述のように、中絶後のパートナー(男性)の態度にも大きく関わっていると言えます。

PASにもさまざまな症状があります。無気力という形でその症状があらわれることもあれば、自殺・自傷を考えるなど自暴自棄になることも。

また、中絶の辛さを忘れようと、喜怒哀楽の感情を鈍麻させてしまったり

それまで持っていた人間関係、友人関係を、パートナーや赤ちゃんのことを思い出すからといって断ってしまったり

中絶手術を受けたクリニックの周辺、あるいはパートナーとの思い出の場所に行けなくなることもあります。

いずれの場合もこれはストレス症候群の一種ですので、カウンセリング等の適切な加療が必要です。

PASと診断がつかない場合でも、中絶経験のある女性は、自殺を考えることが非常に多い、ということがわかっています。

ある統計によれば、自殺を考える女性は、中絶を経験した女性のうち6割にものぼります。

それを実行に移すのは3割程度で、特に自殺未遂に至るのは、10代の若い女性であるということも言われています。

これらが、中絶後、女性の生命に関わる最も重大な精神的影響であると言えるでしょう。

このほかにも、例えば、性的な機能が精神的に働かなくなる、という影響もあります。

中絶後、男性との性交渉に喜びを感じられず、嫌悪感を抱く。快楽ではなく痛みをおぼえる。

あるいは、男性そのものに対する嫌悪感が生じることがあります。

この傾向は、短期間で元に戻ることもあれば、数年、十数年……と長引くことも。

また、こうした感情が逆転してしまい、乱れた性生活を送る女性も、中にはいるようです。

また、喫煙や、アルコール・薬物乱用といった問題も浮上しています。

中絶によって得た心の傷を、何かで埋めようとするのですが、喫煙やアルコール、薬物などで消えるものではありませんので

徐々にエスカレートし、乱用状態に陥ります。健康被害の報告も多いのです。

意外に思われるかもしれませんが、女性の中絶経験は、次に生まれた子どもに対する児童虐待の可能性に繋がっていると言われています。

さらには、次に妊娠した胎児を中絶する可能性も大きく、一度中絶をした女性のおよそ45%が、二度目以降の中絶を行い

中絶を繰り返すパターンを持っていると報告されているのです。

何故、児童虐待の確率が増えたり、中絶を繰り返すことになるのか、その具体的な原因は不明ですが、一説によれば、生まれた子どもを虐待したり

あるいは自分にもう一度中絶手術を受けさせることで、自分自身を罰しているのではないか……ということも言われています。

人工妊娠中絶を受けた女性の多くが、自分自身に対し、大きな罪の意識を感じて、多かれ少なかれ、それに苛まれます。

PASであったり、自殺願望なども、原因の最たるものはこの、罪の意識に他なりません。

中絶を行うと、それまでの事情がどんなものであれ、女性には「生きていけるはずの胎児を育ててあげられなかった」という気持ちが生じ

これがさまざまな精神的影響の原因のひとつになっているのです。

パートナーの男性が、女性の思いを理解し、支えようとする姿勢を見せればまだ良いのですが

全くその姿勢がなければ女性は一人でこれを背負うことになり、精神的な影響も大きく、また長引くことになります。

人工妊娠中絶は、マスクをした見知らぬ他人に器具を使って、自分の内部に侵入され、内部を引っかき回されて

痛みを与えられる行為である……という中絶経験者もいます。

とらえ方ひとつではありますが、中絶手術が女性にとって大きなショックであり、心に負担を与える行為であることは間違いありません。

中絶後、精神科などをたずね、精神安定剤を処方してもらう女性は多いものですが

辛いときには是非、そのように処方をお願いするなり、カウンセラーにかかるなりしていただきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です