中絶と女性ホルモンの関係

人工妊娠中絶をするとき、知っておいていただきたいことのひとつに、女性ホルモンと中絶との関係があります。

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女性ホルモン自体は、中絶の如何に関わらず、常に女性の身体に影響を与えているものです。珍しいものではありません。

女性にとって大きな影響のある女性ホルモンの代表が、「エストロゲン」です。

これが常に、増えたり、減ったりを繰り返しているのが、女性の身体。もちろん、エストロゲン以外にも、さまざまな種類の女性ホルモンが

お互いに増減を繰り返しながらバランスを取ろうと必死になっています。

ところが、女性ホルモンの中には、脳の「視床下部」というところから分泌されるホルモンがたくさんあります。

この視床下部は、自律神経の中枢部分でもあるのです。ですから、女性ホルモンはストレスや神経の影響を非常に受けやすいですし

逆に、神経も、女性ホルモンからの影響を非常に受けやすい。

ホルモンバランスを取ろうとする気持ちとは裏腹に、実際にバランスを取るのは大変難しいことと言えます。

先ほどご紹介した、エストロゲンも、増えた減ったによって、気分が高揚したり、逆に気分が沈んだり、イライラしたり……と

女性の感情に大きな影響を与えることが既に知られています。

それは女性にとってはストレスになりますが、ストレスがかかったことによって、まだホルモンバランスがうまく取れなくなってしまいますから

より感情が不安定になって、悪ければ回復のきっかけを失ってしまうという、悪循環を生み出すこともあるのです。

時に、中絶をするときには、女性の心身にかかるストレスは、日常生活におけるそれとは比べものにならないほど、負荷の大きいものです。

大抵の女性にとって、妊娠するということ自体が不調の原因です。

どんなに、中絶を決意した妊娠であっても、妊娠期間中は、初期段階から辛いつわりに悩まされます。

めまいや吐き気、だるさといった不快感は、それだけでも大きなストレスであるといえるでしょう。

そして、何週間かの妊娠期間を経ての中絶……。妊娠しているという状態は、既にホルモンバランスが崩れている状態ですので

そこへ中絶という新しいストレスの要因が加わると、もとはどんなに健康であった女性でも、ホルモンの状態が元に戻りにくくなることは、容易に想像できるのです。

実際に、心理的な負荷を考えずに、女性ホルモンが妊娠前の状態に戻ることだけを考えてみましょう。

通常であれば中絶後に1~2ヶ月をかけて、女性ホルモンは妊娠前のバランスに戻ってゆきます。

これには個人差がありますが、基本的には中絶の期間が遅ければ遅いほど、長い時間がかかる……と考えてよいものです。

というのは、妊娠すると、ホルモンバランスは次々に変化し、妊娠前期の状態から中期、後期へ、そして単なる妊婦である状態から

育児をすることのできる状態をつくりあげていきます。

中絶は妊娠中期にかけて行われるものですが、その時期が遅ければ遅いほど、ホルモンの状態は非妊娠時とはかけ離れてしまうため

戻るためにも時間がかかると考えられています。

当然、妊娠前にあった月経は、中絶後、ホルモンバランスが元に戻るまでは訪れません。

そして中絶後、1~2ヶ月をかけてホルモンバランスが非妊娠時の状態に戻ることができると、排卵・月経が再開し、再び妊娠できる身体に戻るのです。

1~2ヶ月といっても個人差があり、短い方では数週間で排卵が再開しますので、「月経がないから」という理由で中絶後、安心して性交渉を行っていると

月経が来ないうちに排卵日にあたり、また妊娠……ということも実際にあります。注意して下さい、と言われるゆえんですね。

ところが、中絶後、1~2ヶ月が経過しても、ホルモンバランスが元に戻ることができず、月経が正常に再開しない場合があります。

すると、精神的にもバランスが崩れたままでは不安定な状態が継続してしまいますし

月経が再開しなければ次の妊娠をすることができず、いわゆる不妊の状態を招いてしまいます。

これは月経後の後遺症のひとつとしても上げられている、深刻な問題です。

月経が定期的に、正常に訪れるためには、精神的な安定と、ホルモンバランスの安定が必要です。

ところが、妊娠、そして妊娠の中断ということでホルモンバランスが乱れたことに加え、「中絶した」という事実によって女性の心が抱える大きな負荷によって

女性ホルモンの働きが元に戻りにくくなってしまうのです。

中絶後、月経の状態が正常に戻らない場合には、精神的なもの以外の合併症の可能性……

例えば、子宮内の癒着によって排卵が正常に行われない場合など……も含めて、施術を行ったクリニックでの受診がまず必要です。

多くのクリニックでは、中絶手術後、1ヶ月ほどして月経が来なかった場合には、クリニックを再受診するよう指導を行っているようです。

退院時にそのような指導がなかった場合でも、中絶後に月経が元に戻らないようなことがあれば

施術を行ったクリニックを訪れてまずは相談してみることを、おすすめ致します。

その後の対応につきましては、心身の状態によって差が出ることと思いますが、ホルモンのバランスを整えるための治療が行われたり

あるいは、心理的なストレスが非常に大きく、それによってホルモンバランスが大きく崩れていることがみとめられる場合には

産科のクリニックではなく、精神科など心の問題を取り扱うところでの受診が必要になることも多いでしょう。

とある調査によれば、中絶後に精神異常を訴える、精神科等の心理的なケアが必要になるケースは40%以上と報告されています。

しかし、中絶後の調査があった場合、調査に参加し回答を得ることができる確率さえ50%前後であるという現実もあり

心のケアの必要性はさらに大きいことが考えられます。

それは、中絶という経験の辛さを考えればむしろ当然のことと言えるかもしれません。

中絶後、ホルモンバランスが安定しないことが感じられた場合には、恥ずかしがることなく心の専門家に相談してみることをお勧め致します。

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