中絶で不妊になる可能性

人工妊娠中絶に関連して、よくささやかれるウワサ。

多くの人が知っているウワサ。でも、何が真実なのかは、実は多くの人が知らないままのウワサ……。

そんなウワサのひとつに、「中絶をすると、不妊になる!」というものがあります。

一度、中絶をすると、次からは二度と妊娠できないのだ、と思うような女性もいますので、これはなかなかに深刻な問題です。

ここでは、人工妊娠中絶と、不妊との関係を、詳細にみていきたいと思います。

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中絶で「不妊になる」の? それとも、「妊娠しやすく」なるの?

中絶をすると不妊になる、ほどではないのかもしれませんが、「中絶をすると、次の妊娠がしやすくなる!」という説もまた

非常にまことしやかにささやかれているウワサのひとつです。

ふたつの説は、「妊娠しなくなる」というものと、「妊娠する」というもの、つまり全くの真逆の意味を示しているだけに

情報が錯綜し、結果として、特に女性たちの間では、なにが真実なのかわかりにくくなってしまっている、というわけなのです。

それでは、真実はどちらなのでしょうか?

答えは。「どちらも本当です」。中絶をした女性の体質が、どちらに近いものとなるかは、誰にもわかりません。

中絶することによって、妊娠しやすくなってしまう方もいれば、逆に、次の赤ちゃんを授かるまで非常な苦労をなさる方もいらっしゃる、ということですね。

中絶することによって妊娠しやすくなる、という説にも一理はあります。

この原因は、出産をすると、次の妊娠をしやすくなる……という人がいることと、共通しています。

つまり、中絶や出産をすることによって、女性の胎内ではそれまで存在していた古い胎盤などが排出されてしまい

子宮の中が一時的にキレイになる、という現象が起こります。すると、受精卵が着床しやすくなります。

妊娠は、いつするか分からないものですが、妊娠するはずの時期に性交渉を行ったからといって、実際に妊娠するとは限りません。

それは、卵が受精していても、着床せずに流れていくことが割合に多いためなのです。

しかし、子宮内がスッキリしていると、そのぶん受精卵にとっても、着床しやすい環境が整えられる……ということがあるようです。

結果として、中絶の後に、不妊どころか、妊娠しやすくなってしまう人もいます。

それで、中絶後の、月経が不安定な時期に、避妊の不完全な性交渉を行い、再び妊娠してしまい再度の中絶……というケースが後を絶たないのです。

しかし、逆に、噂にささやかれる通り、中絶によって不妊の症状を抱える方も、たくさんいらっしゃいます。

中絶をするということは、外部から胎内に器具を挿入し、施術を行うという行為です。

もちろん医師の側でも細心の注意をはらって施術を行うものですが、中絶手術によって子宮内に小さな傷が出来てしまい

この傷跡が、のちの妊娠、受精卵の着床を妨げることで、不妊になるというケースが報告されています。

子宮の内部が癒着してしまった場合、この症状にはアッシャーマン症候群という名前がつけられており

子宮内膜が正常に育成されなくなりますので、やはり受精卵が着床しにくくなってしまうのです。

また、手術の後遺症のひとつとして、卵管が塞がってしまったり、癒着を起こすことによって、正常な排卵ができていないケースも考えられます。

これは、レントゲンの検査をしなくては、癒着しているかどうかはわかりません。

痛みを伴う検査でもありますので、「不妊かも……」という不安だけの段階では、なかなかこの検査は行わないのです。

結婚後に定期的な性交渉があり、それでもずっと妊娠しないというようなときに、はじめて行うことが多いようです。

いずれの場合も、中絶手術を原因のひとつとする、不妊の問題と考えられます。

中絶手術でなくても、そのほかの病気等に起因する子宮内の手術等でも、これらの症状は確認されているのですが

症状の如何によっては治療法もありますので、不妊状態で中絶をした経験があるからとあきらめたり、落ち込むようなことではないと言えるでしょう。

もうひとつ、大切なのは、中絶の経験があると、精神的に不妊状態になることがある、ということです。

子宮内の癒着などは、身体的なことが原因での不妊なのですが、過去の中絶に強い罪悪感を持ったり、性交渉を忌避したり、性交渉は行うことができても

妊娠に対して嫌悪感があったり、それから、不妊であることがわかっても、積極的に不妊治療をすることができない……

などといった、精神的な不妊傾向があることも確認されています。

中には、中絶後、赤ちゃんを授かったとしても、過去の中絶の罰として、せっかく授かった赤ちゃんをまた中絶してしまい

それを繰り返す……という、中絶のスパイラルに陥っている人もいます。

こうしたケースはもちろん、身体的に妊娠できないわけではありません。

ただ、心に重荷を抱えてしまったがために、妊娠を継続することができないのです。

もっとも、一度の中絶で必ずしも不妊になるわけではありませんが、中絶を繰り返すことで、子宮内に小さな傷跡が増えたり

癒着の箇所が増えてしまい、結果として身体的な不妊の確率を高める、といったことは言われています。

中絶後に不妊状態を訴える人の中で、二回以上の中絶手術を行っている人は、確率としては多いと言えるでしょう。

このように、中絶手術によって不妊状態が引き起こされるケースも中にはあります。

しかし、それは「妊娠できなくなる」ということではありません。

前に述べましたとおり、中絶手術で却って妊娠しやすくなる場合があるので、二度目の中絶手術を招かないよう注意することも必要です。

また、一度、二度と中絶を行ったとしても、妊娠できなくなるのではなく、これに対応する不妊治療を行うことで

妊娠の可能性も十分にあるのだということを知っておいていただけたらと思います。

中絶が可能な場合とは

人工妊娠中絶、いわゆる「中絶」を考えるときに、いつ、どのような場合なら可能なのか? 中絶できるのかどうか? ということが気になりますね。

中絶が可能な場合とは、どのような場合でしょうか?

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中絶が可能な時期とは?

中絶が可能な時期は、「妊娠5週目~妊娠21週目」です。
これは、何故かというと、妊娠1~4週目には、まだ妊娠して間もなく、子宮口が開きづらいために手術ができない。

また、胎児が小さくて取り出すことが困難……などの理由から、完全に不可能なわけではありませんが、手術が極力避けられます。
一方、妊娠22週目に入ると、未熟児として出生した場合に、保育技術によって生存できる可能性が出てきます。

「人工妊娠中絶」とは、「子宮外で胎児が生きられない時期に、胎児を子宮の外に出す」こととして定義されていますので、妊娠22週を過ぎてからの中絶手術はできません。

そこで、中絶の可能な時期としては、「母体保護法」という法律によって実際に、5~21週6日目、と定められています。
実際には、妊娠週数が大きくなるほど、母体への負担が増すことなどから、人工妊娠中絶は妊娠12週目までに行われることがほとんどです。
妊娠22週を過ぎますと、中絶手術はできませんので、難しい選択ではありますが早期に結論を出し、手術を行うことが必要になります。

初期中絶と中期中絶

人工妊娠中絶は、妊娠12週目までに行われることがほとんどですが、妊娠12週未満までの中絶を「初期中絶」

それ以降、22週目未満までの中絶を「中期中絶」と呼びます。
初期中絶においては、胎児がまだ小さく、中絶は死産の扱いにはなりません。

一方で、中期中絶になると、「死産に関する届け出」に従い、妊婦は死産届けを提出しなければならないこともあり

人工妊娠中絶は、その95%が、12週未満までに行われています。

初期中絶は、日本では、麻酔をかけて子宮内を広げ、胎児を取り出す形が行われています。

施術自体が5~20分と短時間で、麻酔が覚めれば日帰り手術として、その日のうちに帰宅できることがほとんどです。

費用についても、比較的安価に抑えることができます。
初期中絶では、母体への影響もまだ少ないですが、中期になると胎児もある程度の大きさに成長してきますので、中絶自体も、分娩に近い形でしか行うことができません。

中期中絶では、人工的に陣痛を起こしたり、機材によって子宮を拡張し、吸引する手法がとられますので、母体の負担もそれだけ大きいといえます。

通常は、そのまま2~3日の入院と経過観察が必要になります。それだけではなく、死産届けの提出

胎児の火葬といった手続きもしなくてはならないため、精神的な負担も無視することはできません。

また、大がかりな手術になることや、死産届け、火葬などの手続きができないという理由から、クリニックによっては中期中絶を行っていないところもあります。

その場合は、施術してくれるクリニックを探す必要もありますので、なおさら早い段階での決断が望まれるのです。

後期中絶について

妊娠22週目以降の中絶を示す後期中絶は、現在では、妊婦の申し出による施術は認められていません。

胎児の側に生存できない理由があったり、何らかの理由で母体に危険が及ぶ場合のみの施術となりますが

帝王切開等の方法で胎児を救出できる可能性がある場合には、もちろんその可能性が優先されます。

基本的には、母体保護法により妊娠22週目以降の人工妊娠中絶は違法で、行うことはできません。

中絶の理由について

法律では、中絶の理由についても規定がありますのでチェックしておきましょう。
法的に中絶が可能になる理由は、
1. 妊娠の継続や分娩が、身体的、経済的な理由で母体の健康を損なう恐れがある場合

2. 暴行や脅迫による妊娠の場合

の2点に絞られています。実際には、「経済的な理由で」とありますので、これを広義に解釈し、多くの人工妊娠中絶が行われているのが実情です。

妊娠週数の数え方

ここで問題となるのが、妊娠週数の数え方です。自分の妊娠週数を把握しておかないと

人工妊娠中絶がいつまで可能なのかも、把握することができませんので、よくチェックしてみてください。
ポイントになるのは、妊娠前、最後の月経がはじまった日です。妊娠の場合はこの日を0日目と数え、7日目までが妊娠0週目となります。

8日目~14日目までが、妊娠1週目です。とはいえ、胎児の大きさによっても誤差が出る場合がありますので、正確なところはクリニックでの検診で確認をしてください。

最後の月経の開始日について、あやふやなときも同じです。
人工妊娠中絶は、できる期間に限りがあります。それも、あまり長い期間ではありません。

母体の負担という問題もありますので、特に望まない妊娠をしたような場合には、できるだけ早く施術が受けられるようにすることを、おすすめします。

中絶する理由

人工妊娠中絶は、年々減少しているとはいえ、年間で29万件ほどの中絶が行われているといいます。

それらの中絶は、どういった理由で行われているものなのでしょうか?

人工妊娠中絶というと、イメージとしては、未婚での妊娠、未成年での妊娠など

若いうちに妊娠してしまい中絶……といったイメージが先行していますが、実態は決してそうではありません。

少し古いですが、平成19年のデータを見ますと、20歳未満の中絶は、毎年、10代女性全体の10%前後で推移しています。

一方で、全体の30%以上という数値をたたき出しているのが、20~30代です。30~40歳では、全体の20%ほどの人が中絶を経験しており

さらに、41歳以上であっても、5%弱が中絶を行っているというデータが出ています。

このデータを見ると、必ずしも、「未成年である」ということ自体が人工妊娠中絶の理由であるとは限らないことがわかります。

中絶の総数そのものは、年々減少傾向にはありますが、比較的高い水準で推移しているのが20~29歳です。

30代での中絶も減少しているとはいえ、少なくはないことが、おわかりいただけるかと思います。

女性が、中絶の理由として挙げるものは、主に3種類です。

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1つは、「子どもを育てる余裕がない」というもの。これは大半の女性が中絶理由に挙げるもので、未成年の中絶の理由はほとんどがこれに当たるといってよいでしょう。

2つめは、「仕事や学業など、自分の責任を果たせなくなるから」というもの。

妊娠をした女性自身に、仕事や学業といった専念すべき何らかの事業があり、妊娠を継続することはできない、という理由です。

もちろん、未成年や学生の中絶理由としては、これも大きなものです。

加えて、就職をしてキャリアを積みはじめたばかりの20代女性の場合は、仕事のために中絶を選択することは決して珍しくはないのです。

中絶の理由として多いものの3つめは、「片親になりたくない、夫・パートナーとの間で問題となるので……」というものです。

非常に残念なことですが、妊娠・出産することによって、それが夫或いはパートナーとの間での障害となってしまうことがあります。

これを妊娠を継続できない理由に挙げる女性は、少なくありません。
こうした場合の多くで、留意すべきは、「家族にも相談できないまま、中絶を選択する女性がいる」ということです。

残念ながら、夫やパートナー、両親にさえも、相談することができずにクリニックを訪れる女性は、決して少なくはありません。

妊娠したという事実をたった一人で抱え込み、重いモノを背負ってクリニックの戸を叩きますが

夫やパートナーには冷たく切り捨てられ、両親や、親しい友人に話せばきっと軽蔑される

これまでのように接してはもらえないのではないか……という不安から、憔悴しきっていることも多いものです。

人工妊娠中絶は、もちろん施術のそのときも辛いものですが、後あとにまで気持ちの整理がつかない、後悔をひきずるといった心理的な影響も無視できません。

本当に相談できる人がいないのか? クリニックに訪れる前に、よく考えてみる必要はあります。

上に挙げた3つ以外の理由としては、胎児の障害の可能性、というものが挙げられます。

胎児に障害があるという可能性をもとに、人工妊娠中絶を決意する妊婦は、中絶する妊婦全体のおおよそ13%と言われています。

近年では羊水検査などを基として、胎児の障害が比較的事前にわかるようになってきていますが、これについても問題がないわけではありません。

費用が5,000円~15,000円ほど、かかるということ。

羊水検査を行っても、すべての障害がわかるわけではなく、羊水検査で異常なしと出ても、障害のある子どもが生まれる可能性は否定できないということ。

また、羊水検査は完全に安全なものではなく、副作用についても指摘されています。そうした理由から

詳しい検査を受ける前に、「胎児に障害があるに違いない」と思い込み、或いは恐怖によって、中絶を選択する妊婦も多くいるのです。

中絶全体のおよそ13%が、胎児の障害を理由としていますが、何らかの検査によって胎児の障害が明らか

確実になっているものは、そのうちの1%に過ぎないとする説もあります。

これらの理由に加えて、人工妊娠中絶を促進しているのは、「法律的な保証」であるとする意見もあります。

日本では、母体保護法によって、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」について

人工妊娠中絶をすることができる……と定められています。この、「身体的または経済的理由により」という条項をもとに、多くの人工妊娠中絶が行われます。

法律で、理由があれば中絶してもよい、と定められていることが、日本での中絶をより気軽に行えるものとしている、とする意見もあるのです。

経済的な理由にしても、パートナーとの間の問題にしても、胎児の障害の可能性にしても

「理由があれば、中絶はしても良いものだ」という法的な考え方が、中絶の選択を安易なものにしている……その可能性も、もちろんあります。

中絶を検討してクリニックを訪れれば、にべもなく施術を拒絶されることはまず、ありません。

女性の側にもさまざまな理由がありますし、クリニックにとっては、それは営業内容のひとつでもありますから

優しく「できますよ」と言うことがクリニック側の唯一の選択肢でもあります。

いずれの場合も、中絶をするか否かの選択は、命のやりとりです。妊婦さん自身にとって

人生を左右するともいえる大きな選択であって、「中絶してよかったと思えたのは、中絶した後3日だけだった。

その後は後悔の念に毎日苛まれている……」という意見を仰る方も少なくありません。

中絶の決定には、時間的な余裕はありませんが、それでも、法的に保証されていることで、安易な選択をしようとしていないか?

クリニックからのすすめに左右されていないか? もっと他に相談できる人がいるのではないか? など、よく考えたうえでの意志決定が求められるのです。

中絶と法律

人工妊娠中絶は、主に「母体保護法」という法律によって、その概要が定められています。

母体保護法は、最終改正が平成25年12月に行われている法律です。このことからも、内容は時代に即して見直されていることがわかります。

それでは、その内容について見てみましょう。

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母体保護法は、「母体の生命健康を保護すること」を目的に、人工妊娠中絶と不妊手術について定めている法律です。

人工妊娠中絶の定義については、第二条に定められており

「人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。」

となっています。

この条項は、人工妊娠中絶を行う時期に深く影響を与えています。

つまり、人工妊娠中絶は「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」に行われる必要があり

これに値しない人工妊娠中絶は違法となりますので、どこのクリニックをあたっても、実施することはできません。

では、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」とは、いつ頃のことを言うのでしょうか。

現在の保育技術においては、妊娠22週を過ぎた胎児は、母体の外に出されたとしても何らかの方法で保育することができる、とされています。

妊娠22週では極度の早産の扱いにはなりますが、「生命を保続すること」はできるとみなされるのです。

したがって、人工妊娠中絶を行う場合には、施術が妊娠21週7日目までである必要があります。これ以上の先延ばしはいかなる理由があってもできません。

ここで、問題となるのは妊娠週数の数え方ですが、妊娠週数は、妊娠前に最後の月経がはじまった日を、0日目として数え始めます。

この日から、7日目までが第1週です。8日目~14日目までが、第2週となります。

中絶を検討している場合には、正確な週数をクリニックで必ず確認しましょう。

人工妊娠中絶は、早ければ妊娠5週目頃から、行うことができます。

ただ、妊娠に気付く時期ということを考えた場合に、日常的に基礎体温をつけていれば妊娠に気付くのが早いですが

そうでなければ、月経が来なかったので妊娠に気付く……ということがほとんどです。

すると、その時点で、既に大体4週が経過しています。

月経の遅れは、女性としては珍しいことでもありませんので、遅れているのかな? と思っている間に、1~2週間はあっという間に経過します。

ようやく、妊娠を確認した頃には、既に妊娠7週目、8週目であることも珍しくはありません。

もうひとつ、中絶と法律ということについては、中絶の理由について、この母体保護法で定められていることがあります。

それは、中絶理由は以下の2点に絞られるということです。

1つは、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」

もう1つは、「暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」

多くの中絶は、1つめに挙げた、身体的又は経済的なことを理由として行われています。

学業、あるいは仕事を理由にして中絶をする場合も、これを広義に解釈して認められているといえるでしょう。

もちろん、後者、2つめの理由が、やむを得ない中絶の理由となることも少なくはありません。

さきほど述べましたとおり、人工妊娠中絶については母体保護法でその時期が定められており、妊娠22週まで、というタイムリミットが必ずついて回ります。

また、人工妊娠中絶をするにあたって、母体の安全や、負担の大きさ、かかる費用の大小ということを考えると、中絶の理想的な時期は、妊娠12週未満です。

妊娠12週を過ぎると胎児が大きくなってきますので、中絶手術をするときにも、母体の負担が増大します。

またそのほかにも、胎児の火葬や、死亡届の提出といった手続きが必要になり、肉体面、精神面の双方において、負担は倍増するといえます。

手続き上の理由、また手術の規模という面から、妊娠12週を過ぎてからの中絶手術は行っていないというクリニックもあります。

こうした諸事情からわかるのは、人工妊娠中絶をするかしないか……その決断のために妊婦に与えられる時間は、決して多くはないということです。

早くて妊娠5週目に、妊娠に気付いたとしても、12週を迎えるまでにたったの7週間。

法律的には、22週目を迎えるまでに手術を終える必要があり、長く迷う時間は与えられていないのです。

人工妊娠中絶を決めるにあたって、「法律的にも、妊娠22週未満なら中絶してもいいと認められているんだ」とする考え方があるのも事実です。

それが、やむを得ないと思われる事情を抱えた女性たちの、心のよりどころになっている面も確かにあります。

ただ、人工妊娠中絶は、あまり時間のない中で決断しなくてはならず、正解というものが無いのも事実です。

そのために、人工妊娠中絶をした女性は、後になって消えない悩みを抱えたり、後悔に苛まれたり……ということも少なくはありません。

一人で悩んで決断するよりも、できるだけ周囲の人に相談することが大切です。

その中から、見えてくるものがあったり、開ける道があったり、よしんば、同じ「中絶をする」という結論に達したとしても

心の持ちようや、その後の生き方が変わってくることも。

クリニックによっては、専門のカウンセラーを置いている場合もありますので、どうしても周囲に話すことができないというときには頼ってみるのも良いでしょう。

大切なのは、一人きりで悩まず、できるだけ早いときに、誰かに相談するということです。

中絶と同意書

中絶を考える段になって、「中絶には同意書が必要である」ということを初めて知り、焦ってしまう……というお話を、時折耳にします。

しかし中絶には、確かに同意書が必要であると、法律で定められているのですが、例外とされる場合もあるのです。

一体どういうことなのでしょうか? 詳しくみていきましょう。

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中絶の同意書について規定があるのは、妊産婦の生命と健康を守るための法律、母体保護法です。

ここには、第十四条に、「本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。」という文言があり

人工妊娠中絶をしたいときには、パートナーの同意が必要であることが示されています。

しかし、人工妊娠中絶というのは、非常にデリケートな問題です。

もちろん、妊娠した女性にきちんとした配偶者や、それに準ずるパートナーがおり、中絶自体もやむを得ない事情があり

二人で話し合った結果、中絶を決めた、従って同意書もきちんと取れる……といったケースも、あります。

しかし、決して少なくないケースが、妊娠の発覚後に、相手と連絡がとれないなどの困った事態になり、同意書が取れない場合です。

不幸にして、パートナーが亡くなってしまうという場合もあります。

また、もちろん、暴行などによる望まない妊娠においては、相手が知れないというケースもあるわけです。

そのために、いくら法律で「同意書が必要である」などと言われたところで、どう頑張っても同意書が取れないというときがあります。

ときに、人工妊娠中絶は、行うにあたって時間的な余裕はほとんどありません。

最終月経の開始日から数えて、12週未満のうちに中絶手術を行わないと、母体の身体的にも負担が増し、金銭的にも中絶費用がふくらみます。

そして、22週になってしまうと、同じく母体保護法の規定によって、中絶手術そのものができなくなってしまうのです。

悠長に相手を探して、同意書を取ってはいられない……という一面が、中絶手術には、あります。

そこで、母体保護法には、同じ第十四条に

「前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。」

という文言をつけ、同意書が取れないときの逃げ道が確保されている形となります。

この規定が存在することによって、もちろん相手が亡くなってしまった、行方が知れないなどのケースにおいては

法律上は女性側だけでも希望すれば中絶手術が受けられることになります。

しかし同時に、相手はいる、連絡もつく、しかし、二人の関係が壊れることを恐れて、妊娠したことを話せない……というようなケースでも

やりかたによっては中絶手術を受けられる形です。

これが良いことなのか、そうでないことなのかは、誰にも答えがわかりません。

ただ、病院側としては、相手に連絡がつく状態であれば、同意書にサインをいただかなくてはなりませんので

女性側が「相手と連絡がとれる」と言ってしまえば、当然、サインを求められるのが現実です。

中には、相手からサインをもらえなかったといって、他人に頼んだり、信頼のできる男性の同僚に頼んだりする場合もあるようなのですが

これは、万一頼まれた場合にも安直に引き受けたりしないことを、おすすめします。

もちろん、頼むことも控えたほうがよいでしょう。

といいますのは、中絶手術の同意書にサインをしたあと、その女性がパートナーと離婚等のトラブルになって

結果、同意書にサインをした男性が悪いというような話になり、弁護士を頼まざるを得なくなるなど、トラブルを大きくしてしまうことがあるのです。

病院の側は、安易に相手の同意なしに中絶手術を行うことはできませんので、ホームページなどにも

『必ず相手側のサインが必要』と明記してある場合がほとんどです。

しかし、法規定には例外もあるということを覚えておくと、クリニックに相談することも可能でしょう。

なお、中絶の同意書には、たいていの場合、氏名と住所を記載し、捺印を行います。

女性の側も、パートナーの側も同じです。また、女性が未成年の場合、保護者の氏名と住所、捺印も必要になります。

※ パートナーの同意が得られない場合は、成人であっても親、もしくは親戚の同意が必要になります。

中絶手術を受ける場合には、恥ずかしい、軽蔑される、怒られる……などの理由で、親には話せないと思う女性も多いようです。

しかし、中絶手術は、多くが麻酔をかけて行うものです。術後もすぐには動けず、日帰りで手術できる場合でも帰宅時にふらつく場合もあります。

もちろん、帰宅してからも、一週間ほどは安静が基本です。そして何よりも、大なり小なり、心に傷を負うことは避けられません。

パートナーの同意がもらえないのならば尚更、「できれば、親かきょうだいには話をして、同意書をもらいがてら、付き添いを頼んだほうがいいのでは……」というのが

中絶手術の経験者たちの大まかな意見です。

それぞれが事情を抱えての人工妊娠中絶ではありますが、できるだけ一人で抱え込まず

パートナーなり、ご両親やごきょうだいなりに、相談をするのがベストです。

同意書につきましても、事情次第で複数の道がありますので、ケースバイケースの対応が必要であることを知っておきましょう。

中絶費用の相場

紆余曲折あり、様々なご事情を抱えて、「人工妊娠中絶をしよう……」と決めたとき、やはりどうしても気になるのは費用面のことだと思います。

人工妊娠中絶の費用相場とは、一体いくらくらいなのでしょうか?

中絶の相場を知るためには、まずは中絶に2種類あることを知っておかなくてはなりません。

それは、初期中絶と、中期中絶です。ちなみにですが、後期中絶というものは基本的にありません。

後期中絶は、胎児に何らかの、生まれてくることのできない、あるいは生まれても生きることのできない障害が発見されたり

母体にどうしても産むことのできない事情があらわれたりしたときに行われる緊急措置であって、それ以外の場合は法律で禁止されています。

それ以外の、初期中絶と中期中絶については、どちらになるかで、費用にも差がでてまいります。

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初期中絶にかかる費用

まず、初期中絶ですが、これは妊娠5週目~11週目の女性に行う中絶手術のことです。

手術があまり大規模ではないため、中期中絶に比較すると、費用面では安価であると言うことができます。

クリニックによって多少の差はありますが、術前の検査に、おおむね1~2万円がかかります。

そして、手術そのものに大体7~15万円がかかります。合計して、10~17万円ほどの計算となります。

ただ、その他の諸費用や、退院後に悩みが深くなり、心療内科に通ったという女性も少なくはありません。

その費用もみておくとすると、おおよそ20万円の計算となります。

中期中絶にかかる費用

中期中絶は、初期中絶に比べて、手術自体が大がかりになります。

中期中絶とは、妊娠12週目~21週目にかけて行われる中絶手術をいいますが、費用という面から見ると、これもまた2つの期間に分けられます。

妊娠12週目~14週目に手術をする場合には、手術費はおおよそ、30~35万円となります。

しかし、それを過ぎて妊娠15週目以降になると、45~50万円ほどかかる場合もあるようです。

胎児が大きくなればなるほど、中絶手術といえども、行うことは出産に近くなってきます。

促進剤などを用いて陣痛を起こし、胎児と胎盤などを体外に出すという点で、ほぼ出産と同額の費用がかかってくると思ってよいでしょう。

初回の診察時の、胎児の大きさによっても、手術費用が異なる場合があるようですので、入念な確認が必要です。

また、この時期になると、手術は日帰りで行うことができず、2~3泊の入院が必要となります。

そこで、手術費用に加えて、数万円の入院費が必要になってくることが、考えられます。

中期中絶の費用と、入院費は、病院の規模によっても変わってきます。事前によく確認しておきましょう。

時間的に余裕はありませんが、近くに中期中絶を行ってくれる病院が複数あるようならば、費用を比較するのも一手です。

ただ、中期中絶は、初期中絶と違い手術が大規模だったり、胎児の火葬や死亡届といった手続きが必要になりますので

初期中絶は行っているけれども、中期の中絶は受け付けません、というクリニックも、たくさんあります。

近くに産婦人科があるからといって、施術を行ってくれるとは限らないことを、覚えておきましょう。

保険は適用されません

病院での診察、手術というと、保険が適用されるかな? と思ってしまう部分もありますが

人工妊娠中絶の術前診察や、もちろん手術そのものにも、保険の適用はなく、すべて自費診療となります。

従って、健康保険には、一ヶ月の医療費の上限を定める制度などがありますが、中絶手術の費用はそれらのいかなる補助も適用されることがありません。

中絶の費用でもめることは、少なくはありませんが、パートナーや家族とよく相談し、費用負担について定めるようにしましょう。

余談ですが、妊娠を切っ掛けに関係が悪化してしまったパートナーが相手だと、支払いに関して問題を抱えることもあります。

手術前には、術後に支払うから立て替えておいて、領収書をもらってきてほしい……という話に決まっていたにも関わらず、いざ中絶手術が終わって領収書を渡すと

とぼけられてしまい、男性側に応分の金額を支払ってもらえない……というトラブルも頻発しているようです。

できればという範囲内ですが、術前にパートナーからまとまった金額を預からせてもらったり

病院への直接支払いを利用してもらうと、無用なトラブルを引き起こす可能性としては、多少抑制できるといえるでしょう。

中絶をするにあたって、ひとつの障害ともなりうる中絶費用。

しかし、期間によって大幅に金額が違うことも、考慮に入れてください。

中絶はそれだけで、心理的に大きな負担をもたらすものです。せめて金銭的な負担をできるだけ少なくと考えるのであれば

早めの決断が功を奏することを、忘れてはなりません。

初期妊娠の中絶費用は15万円が相場?私が実際にかかった費用

さまざまな事情があって、人工妊娠中絶を考えている人にとって、中絶にかかる費用は非常に気になるところです。

そこで、今回は、中絶にかかる費用についてみていきたいと思いますが、中絶費用は、中絶手術を行う時の妊娠週数に深く関わります。

※私が二十歳の時に中絶手術を行った際の実際の費用も最後に載せています。

中絶費用を決めるための、ネックとなる妊娠週数の境目は、「妊娠12週目」です。

妊娠11週目6日までの中絶を、初期中絶と呼び、妊娠12週目0日からの中絶を、中期中絶と呼びます。

費用は、初期中絶と、中期中絶とで大きく変化しますので、今回は妊娠初期の初期中絶に限って、費用面のお話をしたいと思います。

ですから、もしも妊娠12週目に入ってからの、中期中絶の手術を検討中の方は、こちらの記事をご参照くださいね。

さて、初期中絶にかかる費用ですが、まず最初に覚えておかなくてはならないのが、中絶手術には保険が適用されず、全額が自己負担になるということ。

これは初期中絶であっても、中期中絶であっても同じです。ですから、費用は通常の通院や手術と比較して、高額になります。

そして、病院によっても、価格設定に差があることを、あらかじめ頭に入れておきましょう。その上で、大体の初期中絶の費用についてお話したいと思います。

初期中絶の場合、手術そのものにかかる費用は、15万円ほどと言われています。

術前に検査と処置が必要になり、このための費用がおよそ2万円。また、処置後には、初期中絶で3回ほど通院する必要があります。

およそ3千円~5千円が3回で、1万5千円ほど。合計して、17~20万円ほどをみておく必要があります。

初期中絶のできる期間は、おおよそ妊娠5週目~妊娠11週目です。

妊娠0~4週目の場合には、胎児が小さすぎること、また、手術のために必要なぶんだけ子宮口や産道が開きづらいということから

手術自体を妊娠5週目以降に見送ることが多いようです。

手術自体は、初期中絶の場合は短時間で済むことがほとんど。

手術時間は5~10分、長くても20分あれば終了してしまいます。

事前の処置が必要で、子宮口を器具を使って広げ、また麻酔をかけますが、大規模なものではないので日帰りも可能。

手術規模が小さいことから、費用も中期中絶に比べれば安価なのです。

また、初期中絶の中でも、胎児の大きさにあわせて、手術費用を2段階に分けているクリニックもあります。

一例を挙げると、都内のクリニックで、5週~9週6日までの手術費用が12万円程度。10週~11週6日までは、14万円程度、と定めているところが実際にあるようです。

費用の詳細に関しては、自分の妊娠週数を確認する意味も含めて、必ずクリニックを受診して問い合わせましょう。

妊娠週数の確認は非常に大切です。なぜならば、中絶の施術が妊娠12週目に1日でも入ってしまうと、初期中絶としては扱ってもらえず、中期中絶の扱いになります。

すると、さきほどおよそ17万円ほど、と予算をたてた中絶費用は、一気に40万円以上に跳ね上がります。

妊娠週数は、基本的に、最終月経のあった初日を0日目として数え、この日から7日目までを妊娠0週目、翌日から14日目までを、妊娠1週目と数えます。

しかし、週数を何週目とするかについて、優先されるのは、最終月経の日よりも、胎児の大きさです。

クリニックで胎児の大きさをエコー確認してみると、自分で認識していた妊娠週数が少し前後するということもあります。

結果として、自分が思っていたよりも時間的に余裕がなくなってしまうケースも考えられますので

妊娠がわかったとき、中絶を考え始めたとき、決断はできていなくても、できるだけ早く身近なクリニックを受診して、週数と費用の確認をとることにしましょう。

最終月経の開始日がはっきりとわかっている場合でも確認は必ずとってください。最終月経がいつ始まったか、はっきりとわからない場合はなおさらです。

なお、中絶の費用ということで考慮に入れておきたいものが、もうひとつあります。

それは、カウンセリング料金です。人工妊娠中絶は、それを行う女性の心に大きな負担をかけるものです。

心の負担は、時として身体的な負担よりもずっと大きく、直接中絶にかかる費用ではありませんが

心理カウンセラーなどの専門家のカウンセリングを必要とする場合も多くあります。

心理カウンセリングは、サロン等で受けると1回に5千円~1万円ほどの費用がかかることがほとんどです。

回数が増えれば費用も増えますが、心のケアはしっかりしておきたいもの。中絶にかかる費用の一部として、できれば確保したい予算ですね。

中絶費用は早ければ早いほど少なくて済みます。中絶する事を心に決めたら家族やパートナーに中絶費用を相談して準備しましょう。

ちなみに私が二十歳で手術をしたときは妊娠9週目で手術費用だけで13万でした。前後の診察や検査を含めて15万円です。相場からすると少し安かったのだと思います。

しかしその時の私は誰にも相談する事が出来ず、結果として自分で費用を工面する事になりました。

妊娠中期の中絶費用

人工妊娠中絶を考えている方にとって、費用面のことはとても気になる要素ですよね。

実は、人工妊娠中絶は、妊娠初期に行うか、中期に行うかで、費用が全く違います。

そこで今回は、妊娠中期に中絶を行う際の費用について、解説したいと思います。

人工妊娠中絶は、妊娠5~11週のうちに行うものを初期中絶、12週目以降、21週のうちに行われるものを、中期中絶として分けることができます。

今回、費用を解説しますのは中期中絶になりますので、もしも初期中絶の費用について知りたいという方は、こちらの記事をご覧下さいね。

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さて、中期中絶の費用ですが、中期中絶になると手術費はもちろん、入院費がプラスされます。

多くの場合、手術費そのものが30~50万円。幅がありますが、詳細は後ほど解説することにしましょう。

術後に大抵3~4日の入院が必要になりますが、1日あたり1万円ほどみておくと良いと思います。

いずれの場合も、初期中絶と同じで健康保険は適用されず、全額自己負担となります。

初期中絶と違い、中期中絶で行われる手術は、ほとんど分娩と変わりません。

費用面でも、分娩に準ずる手術費用がかかると思ってよいですが、ここでもネックになるのは妊娠週数です。

手術を行うときの妊娠週数や、はじめてクリニックで診察をしたときの妊娠週数に応じて、手術費用が大幅に違うことがありますので、注意して下さい。

一例を挙げると、東京の病院で、妊娠12~14週の処置費用は30~35万円。15~21週の処置費用は45万円、としているところも。

妊娠週数が違えば、何よりも胎児の大きさが違いますので、手術の規模も、妊娠週数が進めば進むほど大きくなります。

当然、母体への負担も後になればなるほど大きくなりますので、ひとくちに中期中絶といっても、やはり早いに越したことはない、というのが現実です。

12~21週というと、10週間ほど余裕があるように見られがちですが、決してそうではありません。

ここまで見てきて、おわかりいただけるように、中絶手術とその費用と、妊娠週数とは、大きな関わりがあります。

そこで初期中絶と同じく、中期中絶であっても、中絶を検討するのならば、たとえ「決断」をしていなくても

一日でも早くクリニックを受診し、実際にかかる具体的な手術費用を確認すると同時に、正確な妊娠週数を把握することが必要です。

それは先ほども少し述べましたが、まず、初めて受診した日の妊娠週数に応じて中絶費用を増減させるクリニックもありますので

多少なりとも早く受診しておくと、料金が割り引かれる可能性があること。

そして、正確な妊娠週数を把握することで、いつまでがどの料金なのかをはっきりさせることができるという理由です。

妊娠週数は、最終月経の開始日を0日目として、0~7日を第0週、8~14日を第1週、として数えはじめます。

但し、正確な妊娠週数には、実際に診察して、エコーで割り出した胎児の大きさが優先して反映されます。

つまり、最終月経の日から自分で計算していたとしても、胎児の大きさが少し大きかったり、小さかったりすると

予想した週数と実際の週数がズレてしまう可能性があるということ。

結果として、あと何日か余裕があると思っていたのに、妊娠○週を迎えるまで思ったより日数がない! なんてことも……。

中期中絶は、妊娠21週6日目まで行うことができますが、1日でもオーバーして妊娠22週に入ってしまうと、法律違反となり、中絶することができなくなります。

時期によっては、数日の認識のズレが致命的な結果を招くこともあり、そうでなくても

10万円単位の費用の差額を生じることもあるので、とにかく中絶を「検討する」段階で、1日も早いクリニックの受診をおすすめする次第です。

もうひとつ、費用面で気にかけておきたいのは、中絶手術後にカウンセリングが必要になる場合があるということです。

初期中絶でも、心の負担の大きさから心理カウンセリングを受ける人がいますが、中期中絶ともなると、その心の負担は倍増することがほとんど。

なぜならば、いわば中絶手術をするだけでおしまいの初期中絶と違い、中期中絶は死亡届の提出、胎児の火葬・埋葬……と

手術後にも心に苦しさをもたらす手続きが待っています。

そう、中期中絶は死産を経験することと同じ。

数ヶ月のあいだ、胎児をお腹に宿し、手術のときには陣痛も経験し、その後も……と、中期中絶をする女性の心の負担は計り知れません。

ゆえに、中期中絶の場合は、術後にカウンセリングにかかる割合も大きく、1回に5千~1万円ほどの心理カウンセリング料を複数回受けられるよう

必要な金額として頭に入れておくことを、おすすめします。

人工妊娠中絶には、人それぞれの事情と経緯があるもの……。

でも、実際には、時間との戦いとなる面も否めません。迷い初めてからの数ヶ月は短いものですが

その短い間に大きな金銭的負担と、心理的負担を強いる、それが中期中絶です。最終的には心のケアをすることも、忘れないでいてくださいね。

中絶費用で一時金が出る場合

人工妊娠中絶をするにあたって、一時金が出る場合があることを、知らない方も多くいらっしゃいます。

実際、中絶となると赤ちゃんの都合ではなく、大人の都合になりますし、病院での費用負担も健康保険が適用されず、自費での施術になりますので

「一時金は出ない」と最初から諦めている方がほとんどなのですが、場合によっては一時金が出ることもあるのです。

それでは、どのようなケースで一時金が出るのか、チェックしてみましょう。

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どのような場合に支給されるのか?

中絶に対して一時金を出してくれるのは、「出産育児一時金」の制度です。但しこれには条件があります。

・妊娠4ヶ月(85日=12週目)以降の中期中絶であること

・経済的理由による人工妊娠中絶「ではない」こと

以上2点が、出産育児一時金が支給される条件です。

健康保険制度上、「出産」とは、妊娠85日以降の出産、早産や死産、流産、人工妊娠中絶のことを指し示します。

出産育児一時金は、このいずれかの場合に支給されるものですが、例外となるケースもあり、中絶の場合には、「経済的な理由ではないこと」がその条件となるのです。

人工妊娠中絶について定めた母体保護法においては、人工妊娠中絶の理由となるのは

・妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの

・暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

の2種類です。そのため、人工妊娠中絶の理由としては「経済的理由」を挙げる人が多くいるのですが、経済的理由では一時金はおりません。

一時金を利用するのならば、身体的な理由や、妊娠の経緯にデリケートな理由があることが、条件となります。

一時金の金額は? 支払いはどうなるの?

中期中絶でおりる出産育児一時金の金額は、1児につき42万円です。

これは、正常分娩のときと、変わらない金額です。但し、産科医療制度という制度に、加入していないクリニックで施術を行った場合には、39万円に減額となります。

ひと昔前は、ひとまず手術の際に、自分のふところから入院費、施術費を支払い、後で出産育児一時金を請求・受領していたのですが

現在では「直接支払い制度」がかなり普及してきています。

これを利用して必要書類を揃え、提出しておくと、健康保険組合から、医療機関へ直接、出産育児一時金を入院費、施術費として支払ってもらうことができます。

一時的にでも自分のふところから高額の入院費が出ていくことがないので、利用者にとってはありがたい制度。

一時金の金額は42万円と、中期中絶の費用とほぼ変わりません。

直接支払制度を利用しても、万一、余剰金額が出れば受け取ることができますが、中期中絶は中絶後に、火葬や埋葬が必要になるため

それを考えると手元にお金が残るということはまずないと言えるでしょう。

初期中絶と中期中絶、一時金を利用できるならどちらがいい?

理由の如何によっては、中期中絶で一時金が出る……ということを聞いて、初期中絶と、一時金の利用できる中期中絶

どちらの負担が少ないのだろう……と考える方もいらっしゃると思います。

しかし、これは迷いなく、初期中絶のほうがすべての面で負担が少ないといえます。

まず、金額面では、初期中絶を行うためには20~30万円の費用がかかり、一時金は出ません。

保険の適用もありませんので、全額が負担となります。

中期中絶では、入院や施術に40万円ほどがかかり、一時金が出れば42万円支給されるということなので

一見して初期中絶よりも費用負担が少なくなるような錯覚があります。

しかし、厳密に言えば中絶の費用には含まれない、火葬、埋葬費を忘れてはなりません。

もしもお墓のないご家庭では、最悪、お墓を建てなくてはならないことになるでしょう。

もちろん、骨壺のまま長期にわたってお手元に置く方もいらっしゃいますし、ご実家のお墓に一緒に……という場合もありますので

こればかりはやはりケースバイケースと言うより他ありませんが、ここに数十万円以上の金額がかかることも珍しくはないのです。

ちなみに、火葬にかかる費用自体は、諸費用を含めて10万円強という場合が多く、金額面では埋葬費がネックになってきそうです。

これらの金額面を考慮したうえで、精神的な負担、そして身体的な負担を考えてみましょう。

初期中絶と中期中絶では、行うことが全く違います。

妊娠11週までの初期中絶であれば、出産とは違うプロセスを経て中絶手術が行われますが、12週を過ぎると、陣痛、出産を経験し

中絶した後に死亡届の提出と、火葬と埋葬を経験する……すなわち、死産そのもののプロセスを辿ってしまいますので、心と体、双方の負担がとても大きいといえます。

中絶手術後にカウンセリングに通うケースは、初期中絶よりも多くなっており、心が長期間、不安定になってしまうというマイナス点がみてとれます。

カウンセリングに通うのであればそこに費用がかかるのも事実で、総合的に判断すればやはり

例え一時金が出たとしても、中期中絶よりも初期中絶のほうが、負担が比較的少ないといえるでしょう。

一時金が出るといっても、できるだけ避けておきたい中期中絶。

しかし、やむを得ない場合には逆に、一時金が大きな味方となるときもあることでしょう。

いざというとき、金銭面の負担を少しでも軽くするために、どのような場合に一時金が出るのかを再チェックしておいてくださいね。

残念ながら一時金が出ない場合は、保険が効かない自己負担で中絶費用を準備する必要があります。家族やパートナーに援助してもらい準備しましょう。

中絶費用の慰謝料

人工妊娠中絶をするには、金銭的な負担がかなり大きくかかってきます。

妊娠12週未満の初期中絶でも、それなりの金額がかかり、12週目以降の中期中絶となれば、かなり大きな、といってよい金額が必要になります。

そればかりではなく、中絶をする女性の側には、精神的な負担というものものしかかってきます。

事情による面もありますが、身体に手を加える形となる女性の側は、男性には決して味わうことのできない苦しみを味わうこととなるのです。

さて、そこで、人工妊娠中絶を理由に慰謝料が発生することはあるのでしょうか。

あるとすれば、どんなシーンで、どれくらいの慰謝料がもらえるの? 中絶に関して、慰謝料が発生しうる場合について考えてみたいと思います。

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中絶で慰謝料が出る場合とは

中絶で慰謝料が発生する場合の第一は、

・女性が、出産を希望しているが、男性が中絶を主張した結果、中絶した

というケースです。

この場合は、女性側は出産することを希望していますが、女性が強引にでも出産すると、男性側には、結婚をしなくても、認知と扶養の義務が生じます。

扶養は男性側の義務になりますが、扶養のためには認知が必要であり

男性側が認知届を提出する意志を持たない場合には、家庭裁判所に持ち込まれる問題となってしまいます。

男性側は、女性の側に中絶を強要することはできません。

従って、女性側が産もうと思えば強引に産むことはできますが、その結果「結婚しない、認知もしない」となりますと女性の側も辛い。

ですから、「産みたいけれども、産んで育てることができない」となり、結果、中絶を選択するケースは少なくありません。

こんな場合には、男性側と女性側の、それまでの関係性を考慮して、慰謝料の金額が算定されることになります。

その細かいところは後ほどご紹介させていただきますね。

人工妊娠中絶に関して、慰謝料が出るケースは、もうひとつ、強姦による妊娠、中絶の場合があります。

ただこちらは、強姦罪あるいは準強姦罪という、犯罪の域にかかることがあり、もちろんその慰謝料の一環として、人工妊娠中絶の慰謝料を請求することができます。

金額につきましては、個々の状況によって異なる面も大きく、金額面でもいくらの慰謝料が出るのかは裁判の結果定められるものですので

こうしたケースでは、迷うことなく弁護士さんに相談しましょう。

慰謝料請求が認められるのはどんなとき?

話を戻しますと、「女性が産みたいのに、相手の男性が出産に反対した結果、中絶となった」場合には、男性側へ慰謝料請求が可能になることもあります。

まず、「結婚を前提にお付き合いしていたのに、妊娠が発覚した途端に逃げ腰になり、中絶を主張、別れを切り出した」というケース。

これは、女性の側が結婚という将来があることを信じて性交渉に応じているのに

男性の側がその将来を反故にするということで、男性の側に大きな責任が問われます。慰謝料だけではなく、中絶の費用も男性側に請求されることとなるでしょう。

これと反対に、結婚の約束がなかった、双方遊び感覚での性交渉の結果妊娠した……というような場合は

男性側だけではなく、女性の側にも責任が問われます。二人の責任でこうなったということで

多くの場合、慰謝料の請求は認められません。中絶にかかる費用も、折半となることが多いようです。

ただ、妊娠が予測できるような状況であったのならば、また別で

「妊娠が予測できたのに、結婚するつもりもなく、きちんと避妊もしなかった」というようなケースでは、男性側に責任を問われることもあります。

結婚についての認識のほかにも、女性の妊娠という事態に対応する男性の態度が、結果に大きく関わってくることも忘れてはなりません。

実際に女性が手術を受ける段になって、男性がクリニックに付き添った。自分から進んで、中絶費用の負担を申し出た。

というような場合は、男性側に誠意が見られるとして、慰謝料は軽減される見込みです。

妊娠発覚後、結婚についてよく話し合う態度があったかどうかも、判断材料のひとつとなります。

一方で、慰謝料が高額となるのは、男性側が妊娠発覚後に、逃げ腰の態度をとったときです。

連絡がとれなくなった、自分には責任はないという態度に終始している……などのケースでは、過去の判例においても高額の慰謝料請求がなされています。

慰謝料はいくらくらいになるの?

さて、気になる慰謝料の金額ですが、女性側の身体的、精神的苦痛を考慮し、男性の側が逃げる態度をとった場合には、100万円~200万円と高額になります。

実際の判例を参照すると、男性の側に、精神的苦痛の慰謝料200万円の半額である100万円

人工妊娠中絶にかかった費用68万円の半額である34万円、弁護士費用10万円……の、合計およそ144万円の支払いを命じられた、というケースがありました。

慰謝料と手術費用がそれぞれ半額になっているのは、女性の側にも半分の責任はあるという判断です。

しかしそれを措いても、精神的苦痛は総合的に200万円と判断され、半額の100万円の支払いが逃げ腰の男性に命じられることとなりました。

妊娠の発覚後、男性の側に誠意があれば、金額もそれに左右されます。

あなたのケースで実際にいくらの請求が可能なのかは、やはり弁護士さんなど専門の方に詳しく話を聞いてもらうまで、わからないということですね。

ただ、人工妊娠中絶は妊娠した、もしくはさせた、二人の責任である……といっても、実際に中絶で身体的・精神的に苦痛を味わうのは女性の側のみです。

現実には精神的ショックから、慰謝料どころではない女性も多いのですが、ご家族の協力などを得ながら

慰謝料をもらえそうな場合には、しばらく後の自分のために、ひとがんばりしてみてはいかがでしょうか……。

辛いお心はお察ししますが、中絶の慰謝料、「ないよりよかった」と思える日がくることを、心からお祈りしております。